ルーディメンツ

フラム系ルーディメンツ:装飾音が生むグルーヴの表情

装飾音符フラムを使った11種の技法群。グルーヴに厚みと表情を与えるフラム系ルーディメンツの基礎と主要パターンを解説します。

フラムとは、ほぼ同時に2音を打つが、わずかにタイミングをずらす奏法です。先に打つ弱い音(装飾音)と、直後に打つ強い音(主音)で構成されます。小文字が装飾音(弱)、大文字が主音(強)を表します(例:lR = 左装飾音+右主音)。

このわずかなズレが、音に「厚み」と「重さ」をもたらします。フラム系ルーディメンツは、この装飾音の感覚を活用した11種類の技法群です。

フラムの基本感覚

装飾音と主音のズレは「ほぼ同時だが同時ではない」微妙な間合いです。

  • ズレが大きすぎると2打に聴こえる
  • ズレがなければ同時打ちになる

「fa-LAM」という2音が一体として聴こえる感触を探します。装飾音はできる限り弱く、主音は確実に強く。この強弱の差がフラムらしさを作ります。


全11種のフラム系ルーディメンツ

フラム(Flam)

フラム

最も基本的なフラム(lR / rL)。装飾音+主音の2音でひとつの「フラム」として扱います。

フラムアクセント(Flam Accent)

フラムアクセント

フラム+シングル2打の3連符構成(lR L R / rL R L)。3連符グルーヴにフラムが乗る、最もよく使われるフラム系パターンのひとつです。

フラムタップ(Flam Tap)

フラムタップ

フラム+ダブルの構成(lR R / rL L)。直後にダブルが続くため、主音がDown Strokeになります。

フラマキュー(Flamacue)

フラマキュー

フラム+シングル3打の複合パターン(lR L R L / rL R L R)。アクセントが独特の位置に来るため、グルーヴに独自の重心が生まれます。

フラムパラディドル(Flam Paradiddle)

フラムパラディドル

フラムとパラディドルを組み合わせたパターン(lR L R R / rL R L L)。パラディドルの1打目がフラムになった形です。

フラムパラディドルディドル(Flam Paradiddle-Diddle)

フラムパラディドルディドル

フラム+シングル1打+ダブル2打の6打構成(lR L R R L L / rL R L L R R)。パラディドルディドルの1打目がフラムになった形です。6/8拍子やシャッフルグルーヴとの相性が良いパターンです。

パタフラフラ(Pataflafla)

パタフラフラ

フラムとダブルが交互に現れる4打構成(lR R lR R / rL L rL L)。「パタフラフラ」という名称がそのままリズムの語感を表しています。

スウィスアーミートリプレット(Swiss Army Triplet)

スウィスアーミートリプレット

フラム+ダブル+シングルの3連符構成(lR R L / rL L R)。スウィス(スイス)発祥のドラムコーパス系ルーディメンツです。

インバーテッドフラムタップ(Inverted Flam Tap)

インバーテッドフラムタップ

フラムタップのアクセントが逆転した構成(R lR L / L rL R)。装飾音が後から来ることで独特のニュアンスが生まれます。

フラムドラッグ(Flam Drag)

フラムドラッグ

フラム+ドラッグ+タップの構成(lR llR L / rL rrL R)。フラムとドラッグが組み合わさることで、密度の高い装飾音が生まれます。

シングルフラムドミル(Single Flammed Mill)

シングルフラムドミル

フラムが交互に現れる4打構成(rL R lR L)。スネアの表情を豊かにするのに役立ちます。


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LESSON 1:フラムの感覚を作る

まず「装飾音の弱さ」を徹底します。

  1. 右手だけで lR(左装飾音+右主音)を繰り返す
  2. 装飾音の左手を「ほとんど落とすだけ」の高さ(スティックが10cm以下)にする
  3. 主音の右手は通常の高さから打つ

「fa-LAM」という2音が自然に一体化して聴こえるズレ感を探します。

装飾音が大きいとフラムらしさがなくなります。小さすぎてもメリハリがなくなります。その中間の「聴こえるが主音より明らかに弱い」ポイントを体で覚えてください。


LESSON 2:フラムアクセント(3連符)

BPM 60〜70 の3連符で、lR L R / rL R L / lR L R / rL R L と繰り返します。フラムが拍の頭(1・2・3・4)に来ることを意識します。左右交互にフラムが切り替わるタイミングで手が「入れ替わる」感覚を大切にしてください。


LESSON 3:フラムパラディドルの習得

シングルパラディドルの1打目をフラムに置き換えた形です。パラディドル系を先に練習しておくと、構造の理解が速くなります。

パラディドルのスティッキング(R L R R)が安定している状態で、1打目のRを lR に置き換えるイメージで取り組みます。BPM 50〜60からゆっくり始め、フラムのズレ感とパラディドルの流れが一体になるまで反復します。


まとめ

フラムは「音に厚みを加える装飾技法」です。単独でも使えますが、パラディドルや3連符との組み合わせで特に効果を発揮します。

装飾音が弱すぎず大きすぎず「フラムらしい」感触を作ることが、すべての出発点です。

次のカテゴリ「ドラッグ系」では、2音の装飾音(ドラッグ)を使った技法へと進みます。

教材リンク

STICK FLOW Vol.2

フラム系の基礎となるアクセントコントロールを段階的に習得できる初〜中級者向けワークブック。

アレクサンダー・テクニーク+ドラム

装飾音の「弱さ」を力の抑制ではなく身体の方向性から生み出す視点が得られます。

アレクサンダー・テクニーク+ドラム

The All American Drummer(Charley Wilcoxon著)

当レッスンでも使用しています。26のアメリカンルーディメンツを収録した定番教材。

The All American Drummer