ドラッグとは、主音の直前に同じ手で2音の装飾音を打つ奏法です。フラムが「異なる手で1音の装飾」であるのに対し、ドラッグは「同じ手で2音の装飾」が特徴です。小文字2つが装飾音(弱)、大文字が主音(強)を表します(例:llR = 左手2音装飾+右主音)。
2音の装飾が加わることで、フラムよりも「引きずる(drag)」ような重さと密度が生まれます。
ドラッグの基本感覚
装飾音の2打はできるだけ速く・弱く・近づけて打ちます。2打が分離して聴こえると「ドラッグ」ではなく、ただの3打になってしまいます。
「ドゥルン・タン」という3音が一体として聴こえるよう、装飾音2打を素早く連打して主音につなげます。
全7種のドラッグ系ルーディメンツ
シングルドラッグ(Single Drag)

ドラッグ+ダブルの構成(llR R / rrL L)。フラムタップのドラッグ版です。
シングルドラッグタップ(Single Drag Tap)

ドラッグ+タップの最も基本的な構成(llR L / rrL R)。2音装飾の感覚を掴むための出発点です。
ダブルドラッグタップ(Double Drag Tap)

ドラッグが2回連続する構成(llR llR L / rrL rrL R)。装飾音が続くため、スピードと弱さのバランスが問われます。
レソン25(Lesson 25)

ドラッグ+シングル2打の3打構成(llR L R / rrL R L)。フラムアクセントのドラッグ版に相当し、3連符グルーヴとの相性が良いパターンです。ダイナミクストレーニングとしても古くから使われています。
シングルドラッグアディドル(Single Dragadiddle)

ドラッグ+ダブル+ダブルの構成(llR R L L / rrL L R R)。パラディドルにドラッグを組み合わせた形で、密度の高い連打感が得られます。
ドラッグパラディドル1(Drag Paradiddle #1)

パラディドルにドラッグを組み合わせたパターン(llR L R R / rrL R L L)。パラディドルの構造はそのままに、頭にドラッグが付いた形です。
ドラッグパラディドル2(Drag Paradiddle #2)

パラディドル2の変形にドラッグが入った構成(R llR L L / L rrL R R)。ドラッグの位置がパターン中ほどに来るため、独特のアクセント感が生まれます。
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LESSON 1:ドラッグの装飾音を作る
右手2打装飾(rrR)の単打練習から始めます。
- 右手を低い位置(スティック10cm以下)から素早く2打連打する
- その流れで主音(3打目)を通常の高さから打ち込む
- 装飾音2打が「ドゥル」という1音のように聴こえるまで素早さを上げる
ポイント:装飾音2打の間隔はできる限り均等に。2打目が崩れやすいので注意します。
LESSON 2:シングルドラッグタップの練習
BPM 60、8分音符で llR L / rrL R / llR L / rrL R と繰り返します。左右交互にドラッグタップが来る流れをまず手に覚えさせます。ドラッグの装飾音と主音の強弱差を意識することがポイントです。
LESSON 3:レソン25(3連符で使う)
3連符の1・&・aに対して llR L R / rrL R L と当てはめて練習します。
フラムアクセントとの違い(装飾音1打か2打か)を聴き比べると、ドラッグ特有の「引きずり感」が体感できます。3連符のグルーヴに乗せながら、装飾音の密度と主音のアクセントのバランスを探ってください。
まとめ
ドラッグは「密度の高い装飾技法」です。フラムが音に厚みを加えるのに対し、ドラッグは音に重さと引きを加えます。
装飾音2打が一体に聴こえるスピードと弱さを追求することが、ドラッグ系習得の核心です。
次のカテゴリ「ラタマキュー系」では、ドラッグを含む複合パターンへと進みます。
教材リンク
STICK FLOW Vol.2
ドラッグの土台となるダブルストロークを体系的に習得できる初〜中級者向けワークブック。
アレクサンダー・テクニーク+ドラム
装飾音の「速さと弱さ」を身体の原則から自然に引き出すアプローチが学べます。
The All American Drummer(Charley Wilcoxon著)
当レッスンでも使用しています。26のアメリカンルーディメンツを収録した定番教材。

