「基礎練習をしたいけど、何から手をつければいいかわからない」ドラム初心者にも経験者にも多い悩みです。この記事では、ドラムの基礎練習を4つのジャンルに整理し、それぞれの意味と練習の方向性をわかりやすく解説します。
基礎練習=決まったメニューをこなすことではない
「基礎練習」と聞いて、何を思い浮かべますか?シングルストロークをひたすら繰り返す。メトロノームに合わせてパッドを叩く。もちろんそれも基礎練習の一部ですが、それだけでは全体像の一角にすぎません。
ドラムの基礎には大きく分けて4つのジャンルがあります。全体像を知ることで、「今の自分に足りないもの」が見えてきます。
① リズムの基礎 〜拍との関わり方を深める〜
ドラマーの土台中の土台が、リズムに対する理解です。
オンビート・オフビート・拍子の感覚
4拍子や3拍子の拍子感、表拍と裏拍の違い。これらは「知っている」だけでなく「体感として理解している」ことが大切です。
サブディビジョンとシンコペーション
8分音符や16分音符への細分化(サブディビジョン)や、拍をまたぐシンコペーションの理解を深めていきます。頭でわかっていても、演奏すると拍を見失ってしまう…というケースは珍しくありません。
拍との関わり方が深まると、どんなリズムが来ても自分の中に「軸」を持って演奏できるようになります。
② 動きの基礎 〜ストロークや奏法の理解〜
身体の動きそのものに関わる基礎です。
ストロークと楽器間の移動
スティックの振り方、スネアからタムへの移動といった基本的な動作。フットワーク(足の使い方)もここに含まれます。
各奏法の理解
モーラー奏法やグラッドストーン奏法など、さまざまな奏法の理解を深めることも動きの基礎にあたります。
ただし大切なのは、「正しいフォームを覚えること」だけではありません。同じタムを叩く場合でも、前後のフレーズによって叩き方は自然と変わります。自分が今どのように動こうとしているかを観察する視点も、動きの基礎として重要です。
③ スティックコントロールの基礎 〜演奏表現を高める〜
より具体的な演奏表現に直結するトレーニングです。
ベーシック4ストロークとスピードコントロール
ダウン・アップ・タップ・フルの4つの基本ストロークを身につけ、速度に応じたコントロールを養います。
ダブルストロークとルーディメンツ
ダブルストローク、パラディドルをはじめとするルーディメンツは、音量や音色の変化、アクセントの表現など、演奏の"色"を豊かにしていくためのものです。
たとえば、シングルストロークひとつとっても、左右の手には「リード・ハンド(主導する手)」と「フォロー・ハンド(追従する手)」という関係性があります。この関係性を理解しているかどうかで、同じ練習でも得られるものが大きく変わります。
④ コーディネーションの基礎 〜手足の協調を学ぶ〜
ドラムは両手両足を使う楽器。手足の組み合わせによる運動パターンを学習し、統合していくのがコーディネーションの基礎です。
「分離」ではなく「統合」の視点
「手と足が釣られる」「片方に集中するともう片方が崩れる」という悩みはよく聞きますが、手足を別々に動かそう(インディペンデンス)とするより、ひとつの音楽的な流れの中でそれぞれが役割を担っている(コーディネーション)と捉え直すと、練習の方向性が変わってきます。
さまざまなパターンを体験して統合していくうちに、手足の動きは「意識して合わせるもの」から「自然とそこにあるもの」へと変化していきます。
4つの基礎が揃うと、自分のアイデアで演奏できるようになる
この4つのジャンルがバランスよく身についてくると、どんなリズムパターンやフレーズに出会っても、それを演奏するために必要なテクニックを自分で選べるようになります。そしてテクニックの使い方がわかるから、自分のアイデアで自在に扱えるようになる。
基礎練習とは、決まったメニューをこなすことではなく、自分の演奏の選択肢を広げていくことです。「何を練習すればいいかわからない」という方は、まずこの4つのジャンルのどこに課題がありそうか、考えてみてください。
もっと深く知りたい方へ
今回ご紹介した基礎練習の考え方をさらに掘り下げた内容は、電子書籍『アレクサンダー・テクニーク+ドラム』で詳しく解説しています。ストロークの捉え方、リズムとの向き合い方、コーディネーションの考え方など、18年の指導経験とアレクサンダー・テクニークの実践から生まれた視点をまとめた一冊です。
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