ドラムチューニングのコツ——対角線回しが絶対ではない理由
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ドラムチューニングのコツ——対角線回しが絶対ではない理由

チューニングの定番とされる『対角線の順に締める』手順。実は私は、基本的にやりません。ボルトを1本回せば全体が動くという物理を踏まえると、順番よりも大切な原則が見えてきます。現場で実際に使っている手順を、理論の裏付けとともに紹介します。

シリーズ「ドラムチューニングを考える」

  1. ドラムチューニングを科学する
  2. ドラムチューニングのコツ(この記事)
  3. ドラムセット全体の共鳴対策——ゼロにできないものを、どう設計するか

チューニングの手順を検索すると、ほぼ必ず出てくるのが「対角線の順に締める」という定番です。教則本にもメーカーの解説にも書いてあります。

実は私は、この対角線回しを基本的にやりません。完全に緩んだ状態から時計回りに順に締めていき、ある程度テンションがかかったら、ピッチの低さが気になるところを少しずつ締めていく——このやり方で音は揃います。

「定番を無視した我流」に聞こえるかもしれません。しかし前回の理論編で整理した物理を踏まえると、むしろこのやり方のほうが理にかなっていると私は考えています。この記事では、その理由と、現場でそのまま使えるコツをまとめます。

大前提:ボルトを1本回すと、全体が動く

すべての土台になる事実から始めます。テンションボルトを1本締めたとき、変化はそのボルトの周辺だけにとどまりません。

  • 両隣が道連れになる——フープは完全な剛体ではないため、1箇所が沈むと両隣もわずかに引きずられ、触っていないボルトのピッチまで変わります
  • 対角にも影響が及ぶ——フープの剛性が高い場合(ダイキャストフープなど)、1箇所を強く締めると対角側の張力まで変化することがあります
  • 膜全体で張力が引っ張り合う——ヘッドは1枚の膜なので、一角の張力を変えれば全体の張力バランスが再分配されます

つまりチューニングとは「8本のボルトを個別に合わせる作業」ではなく、『常に動き続ける全体を、少しずつ目標へ寄せていく作業』です。そしてこの認識に立つと、「どの順番で回すか」は、実はそれほど重要ではなくなります。

コツ1:順番より「量」——時計回りに少しずつ、全体を育てる

私の手順はシンプルです。完全に緩んだ状態から時計回りに順に締めていき、打面にある程度テンションがかかったら、ピッチの低いところを探して少しずつ締めていく。それだけです。

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