シリーズ「ドラムチューニングを考える」
- ドラムチューニングを科学する
- ドラムチューニングのコツ——対角線回しが絶対ではない理由
- ドラムセット全体の共鳴対策(この記事)
タムを叩いた瞬間、スネアが「ジー」と鳴る。バスドラを踏むとセットのどこかが唸る——ドラムセットの共鳴は、多くの人が一度は悩むテーマです。そして「共鳴 対策」と検索すると、消すためのテクニックがたくさん出てきます。
このシリーズの最終回は、その前提から考え直します。まず大前提として、『共鳴をゼロにすることはできません』。同じ空間で複数の太鼓が鳴っている限り、互いに影響し合うのは物理的に避けられない現象です。だから私は、共鳴を「消すべきノイズ」ではなく『セットを調和させる要素』として意識しています。そのうえで、気になる共鳴だけを狙って減らしていく——今回は、その考え方と現場での手順をまとめます。
第1回・第2回と同じく、理論で説明できる部分と、断定できない部分を分けて正直に書きます。
共鳴が起きる仕組み——スナッピーは「セットで一番敏感な受信機」
共鳴が成立する条件は3つです。①振動源(叩いた太鼓)、②固有振動数の近い受け手(他の太鼓のヘッドや金属部品)、③伝達経路(空気や、スタンド・床などの固体)。対策とは、このどれかを弱めることに整理できます。
セットの中で最初に反応するのは、ほぼ例外なくスネアのスナッピー(響き線)です。スナッピーのワイヤーは軽く、幅広い帯域の振動に反応するため、セット全体の音を拾い続ける「受信機」のような存在です。
私の現場感覚では、特に気になることが多いのはハイタム・ロータムを叩いたときです。これには周波数的な説明がつきます。スネア(裏面ヘッドを含む)が反応しやすい帯域は比較的高めで、ラックタムの基音・倍音の帯域と最も重なります。フロアタムやバスドラムは帯域が下に離れているぶん、スナッピーを直接揺らす成分が相対的に少ないのです。
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