シングルストローク(RLRL…)は「1アクション=1打」です。それに対してダブルストローク(RRLL…)は**「1アクション=2打」**。この違いが、速さと表現の幅を大きく広げます。
ルーディメンツの多くはダブルストロークを含んでいますし、ロール・フィル・ゴーストノートなど、あらゆる場面で使われる基礎技術です。
ダブルストロークの基本奏法
ダブルストロークは速度によって大まかに3つの奏法に分けられます。はじめにそれぞれの速さのダブルストロークを習得し、次のステップとしてそれらの奏法をスムーズに切り替えられるようにしていくことで、安定したテクニックの習得を目指します。それぞれのダブルに記載しているテンポは16分で演奏した場合の目安となります。
低速ダブル(〜BPM 80)
シングルストロークの延長です。リバウンドを高く拾い(フルストローク)、ゆっくりしたテンポで均一なタイミング・音量になるように一打一打はっきりとストロークしましょう。
中速ダブル(BPM 80〜160)
腕のストローク一振りの中でスティックを2回振る練習から始めましょう。右手で2回打っている間に左腕を振り上げ、その左手で2回打っている間に右腕を振り上げ、それを繰り返していくイメージです。うまくいくと腕全体のモーションは8分音符のリズムで動き、音は16分になるという感覚になります。この練習では低速ダブルよりも2打目が小さくなったりタイミングが不揃いになりやすいので、正しくコントロールできるテンポを少しずつ速くできるように練習していきましょう。
高速ダブル(BPM 160〜)
高速ダブルではスティックが自然に弾むのを利用します。手指を少し固めて打面と手の両方でリバウンドさせる感覚です。強く握る必要はありません。能動的に手を動かさない(スティックが仕事をする)、スティックが自由に動ける空間を確保するのがコツです。この奏法をロールとも呼びます。この奏法は速くなるほど音が潰れがちになりやすいので、16分の粒立ちが明確に聞こえるように、しっかりリズムのイメージを持ちながら自分の音をよく聞いて取り組みましょう。始めは余韻の少ないトレーニングパッドやハイハットの方が音が聞き取りやすいのでおすすめです。
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LESSON 1:シングルストロークとの切り替え

8分音符のシングルストローク(RLRL…)と、ダブルストローク(RRLL…)を交互に切り替えます。
ダブルに切り替えると音は8分から16分になりますが、腕のモーションは8分のままであることに注目してください。腕の振り(8分)の中でスティックが2回打っている——この感覚を観察しながら繰り返すことが、このLESSONの目的です。
- BPM 60〜80、メトロノームを流しながら練習する
- シングルのときとダブルのとき、腕の動きが変わっていないかを確認する
- ダブルに切り替えた瞬間にテンポが揺れないことが目標
LESSON 2:16分のままシングルとダブルを切り替える

16分音符を保ったまま、シングル(RLRL…)とダブル(RRLL…)を小節単位で切り替えます。
LESSON 1では8分⇔16分の切り替えでしたが、ここでは16分の密度を維持したまま奏法を切り替える練習です。切り替えの瞬間にリズムが崩れないことを目指します。
- BPM 60〜80(16分音符基準)
- シングルからダブルへ切り替えるとき、2打目が均等に収まっているか確認する
- リズムが安定してきたら徐々にテンポを上げる。コントロールできる速度を少しずつ伸ばす
LESSON 3:サブディビジョンチェンジ(16分と6連符の切り替え)

ダブルストロークで16分音符と6連符(8分3連符×2)を切り替えます。
テンポによってコントロールの仕方が変わることを観察してください。低速では一打一打をはっきり打てる低速ダブル、中速では腕のモーションと2打目の関係が変化する中速ダブル——同じ「ダブルストローク」でも、速度帯によって体の使い方が自然と変わっていきます。
- BPM 60〜80(8分音符基準)
- 切り替えの瞬間にリズムが揺れないことが目標
- 6連符の均等さを録音して耳で確認しながら進める
ロール

ダブルストロークを高速で連ねると音が繋がり、ロール(トレモロ)になります。楽譜でトレモロ表記(音符の上のスラッシュ、または波線)が使われている箇所は、ダブルストロークで演奏します。
ロールでは高速ダブルの奏法——スティックが自然に弾むのを利用し、能動的に手を動かさない——が有効です。テンポが上がるほど「打つ」意識を手放し、スティックの弾みに任せる割合を増やしていきます。16分の粒立ちが明確に聞こえるよう、自分の音をよく聴きながら取り組んでください。
まとめ
ダブルストロークはバウンドを「殺す」のではなく「使う」技術です。まず低速で一打一打を均一に出せる感覚を作り、中速では腕のモーションの中に2打が自然に収まる感覚へ、高速ではスティックの弾みに委ねる感覚へと移行していきます。テンポが上がるにつれて体が自然に適応していく過程を観察しながら練習してください。
教材リンク
STICK FLOW Vol.2 — ダブルストローク
バウンドの感覚から高速時の体の使い方まで、ダブルストロークをルーディメンツへの土台として体系的に練習できる初〜中級者向けワークブック。
アレクサンダー・テクニーク+ドラム
「力で打つ」から「リバウンドを使う」への移行を身体の構造から理解できる一冊。
STICK CONTROL(George Lawrence Stone著)
当レッスンでも使用しています。シングル・ダブル・ミックスのパターンを体系的に練習できる定番テキスト。
SYNCOPATION(Ted Reed著)
当レッスンでも使用しています。シンコペーションを軸としたリズムトレーニングの名著。


