レッスンや練習の場で、こんな言葉をかけられたことはありませんか。
『もっと力を抜いて』 『リラックスして叩いて』 『肩の力を抜いて』
言われた瞬間、なんとかしようとしますよね。でも、うまくいかない。意識すればするほど、どこかが固まっていく——そういう経験、きっとあると思います。
これは、意識が足りないのでも、練習が足りないのでもありません。「力を抜こうとする」という行為そのものが、新たな緊張を生んでいるのかもしれません。
「力を抜く」ことはできるのか
試しに、今すぐ肩の力を抜いてみてください。
どうでしたか?「抜けた気がする」でしょうか? あるいは、よくわからなかったでしょうか?
もう少し観察してみましょう。「力を抜こう」と意図した瞬間、何かをしていませんでしたか? 息を止めていませんでしたか? 「正しく抜けているかどうか」を確認しようとして、どこかを固めていませんでしたか?
力を抜くことを目標にした途端、私たちはその目標に向かって何かをしようとし始めます。そして「何かをしようとすること」が、また別の緊張を生む。この繰り返しになりがちです。
力みと力は、違うものです
アレクサンダー・テクニークでは、「力み」と「力」を区別して考えます。
力みとは、内側に集まる方向の緊張のことです。固まる、縮こまる、抑える——そういった使い方が、力みとして現れてきます。
一方、力は外へ伝わっていくものです。ストロークで音が鳴るのも、ペダルがビーターを動かすのも、力が伝わっているからですよね。
ここで少し気づいていただきたいのは、力はしばしば「感じにくい」ということです。自分の腕の重さを、普段どれだけ意識していますか?意識していなくても、腕はそこにあり、重さを持ち、動けば力になります。
脱力しようとすることで、この「すでにある力」を手放してしまっているかもしれません。
「やめる」と「抜く」は違います
アレクサンダー・テクニークが向かうのは脱力ではなく、力みをやめること——これは言葉遊びのように聞こえるかもしれませんが、実際には大きく異なります。
「力を抜く」は、何かをしようとします。 「力みをやめる」は、余計にしていたことをやめます。
この違いが、演奏の感覚を変えることがあります。
とはいえ、「力みをやめる」も簡単ではありません。何が力みなのかに気づかなければ、やめようがないからです。この「気づき」がどういうものか、どう育てていくか——そこがアレクサンダー・テクニークの核心になります。
まず、観察してみましょう
難しく考えなくて大丈夫です。次にスティックを持つとき、ひとつだけ観察してみてください。
スティックを持った瞬間、握っていますか。
持とうとした瞬間にすでに力が入っているかもしれません。あるいは、気づいたら自然に収まっていたかもしれません。どちらでも構いません。「どうなっているか」を見ようとすること自体が、出発点になります。
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